1月19日から20日にかけて、第3回目となる保科洋指揮法クリニックが開催されました。
今回も、北は青森県(なんと総勢5名)、南は九州と、全国から吹奏楽部の顧問の先生方を含む総勢120名の皆様にお集まりいただきました。
1回目、2回目に参加された方も多く、毎年課題をみつけて、一年かけて研鑽を積み、また次の課題を探すためにこの場所に戻ってくる、とありがたいご意見も賜りました。
課題曲の中には、第1回で取り上げた課題曲もありましたが、第1回開催時ではほとんどの方が出来なかった「指揮棒を止める」テクニックを、今回は会場の飛び入り参加の方も含め全員が出来るようになっており、回を重ねるごとに、参加者の皆様の技術が上がってきていることを実感いたしました。
指揮法講習会は全国さまざまな場所で開催されていますが、特にフル編成の吹奏楽またはオーケストラをモデルプレイヤーとした講習会では、多くがスクールバンドをモデルプレイヤーとしております。しかし、モデルプレイヤーの難しさは、何度も課題曲の演奏を繰り返すうちに集中力が切れてしまい、指揮に関係なく自動演奏となりかねない点にあります。この状態に至ると、受講者の方が、指揮によってどのように音楽が変わるのかを学ぶことができません。
この指揮法クリニックでは、保科洋の指揮法を知り抜いているアルビレオ・ウィンドアンサンブルにモデルバンドのご協力をお願いし、わずかな指揮の違いが音色や表現の差となって現れるよう、特別にお願いしております。
一瞬も気を抜けない演奏を、2日間にわたって続けるのは大変疲労度が高く、この指揮法クリニックの成功はアルビレオ・ウィンドアンサンブルの皆様の熱意なしにはなし得ません。アルビレオ・ウィンドアンサンブルには、毎年4月に加東市の4中学校の吹奏楽部のみなさまとジョイント・コンサートを開催していただいており、今年も4月13日に開催されます。この場をお借りし、数々のご尽力に心よりお礼申し上げます。
また、地域の音楽教育への一助となるよう第1回から続けてまいりました加東市近隣の中学・高校関係者の皆様、および兵庫教育大学の学部生・院生の皆様への特別聴講招待を、今年は小学校の先生方まで対象としたところ、多くの先生方にご参加をいただくことができました。
吹奏楽の指揮といえば、部活動の指導でお悩みの先生方のことを念頭に置いてまいりましたが、小学校の教育現場でも指揮の機会は多く、指揮を学びたいと思っておられる先生方がたくさんおられることを改めて実感させられました。今後は、なるべく広く小学校の先生方にも情報が届くよう、より広報活動に力を入れてゆく所存です。
第1回から事務局としてご参加いただいている株式会社パルス東京からは、今年、この指揮法クリニックのDVDが発売される予定です。クリニックに参加したいが、日程の都合や、遠方のため参加が難しい、という声も多くいただいており、そういった方々がこのDVDを手にとって、クリニックの内容を学んでいただければ、この加東市での教育活動が全国津々浦々にまで広がることになります。
株式会社パルス東京には、メディア関係の広報も担っていただいており、この春には、昨年に引き続き、バンドジャーナル誌(音楽之友社)に受講生の方の体験レポートが掲載される予定です。
兵庫教育大学を擁する教育の町加東市から、このような形で全国に向けて情報発信ができることを、大変嬉しく思います。
皆様の熱意に後押しされ、2020年も第4回の開催が決定いたしました。
1月18日(土)〜19日(日)の2日間の開催となります。
指揮法に正解はありませんが、どうして良いかわからない、と教育現場でお困りの先生方の一助となりますよう、来年も実りある講習会となるよう、努力してゆく所存です。
(文責:Hoshina Music Office)